生物製剤研究所は人体用、動物用の生物学的製剤(主としてワクチン)の開発、研究、製造ならびに供給を主たる業務とする事業所です。1915年にコレラワクチンの製剤化に成功して以来、今日まで多くのワクチン、血清、トキソイド、診断薬を開発、供給し、感染症の予防と治療の一翼を担ってきました。
北里研究所創設以来生物学的製剤は、研究部における研究製造という形で製造されていましたが、1970年代に医薬品開発製造基準の制定に伴い、研究部から技術部として分離独立しました。そして1993年、北里研究所創立75周年記念事業の一環として現在地、埼玉県北本市へ移転し、それを機に現名称である生物製剤研究所となり生物学的製剤の製造を続けております。
一方、動物用の生物学的製剤を製造する家畜衛生研究所は、創設時の獣疫部を母体とし、1961年に千葉県柏市に設立。その後1993年に人体用部門と同じ北本市へ移転しました。そしてこの三十数年間、獣医学領域の研究と動物用生物学的製剤の供給を通して獣医学ならびに畜産業界の発展に寄与してきました。
両研究所は急速に変化する時代の要求に応えるべく2002年4月に組織統合し、品質管理体制、品質保証体制の強化、組織の効率化などを図り、人体用、動物用双方の生物学的製剤を供給する生物製剤研究所として再スタートしました。今日、生物製剤研究所は原液製造部門、製剤部門、品質部門、開発研究部門、品質保証部門などにより構成され、厳格なGMP規則(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に基づく製品の製造ならびに品質の管理を行っております。原液製造部門は百日咳、ジフテリア、破傷風などの不活化細菌製剤を製造する第一部門、インフルエンザなどの不活化ウイルス製剤を製造する第二部門、麻疹、風疹、おたふくかぜの弱毒生ウイルス製剤を製造する第三部門(以上人体用ワクチン)、そして狂犬病、豚丹毒、伝染性コリーザワクチンをはじめ、世界初の鶏原虫病遺伝子組み換えワクチンなど動物用のワクチン、診断用製剤を製造する第四部門からなっています。開発研究部門は北里大学をはじめとする大学や外部の研究機関と提携し、最新の技術を駆使したワクチン開発、改良研究を行っています。
生物製剤研究所ではワクチンを取り巻く厳しい環境に対応すべく、安定剤として長年使用されてきたゼラチンの除去や保存剤除去をはじめとする品質の向上に努めています。その成果として2001年には安定剤と保存剤を含まない日本脳炎ワクチンを他社に先駆けて開発致しました。また、生ウイルスワクチンに使用されていた着色剤も除去し、添加剤を出来るだけ除去する努力を続けております。
公的活動としては厚生労働省、農林水産省、外務省等の活動と緊密に協力し、学術講演への講師派遣、ワクチン供給や公衆衛生を目的とする国内外の研究員、技術員の研修受入や派遣を行っています。また、台湾、ベトナムへのワクチン製造技術の移転、指導などにも取り組み、国際貢献を視野に入れた活動も行っています。