北里研究所創立100周年 北里大学創立50周年 記念事業

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校歌「生命の北辰」、完成

未来へ歌い継ぐ、不変の精神と絆



北里大学創立50周年を記念して制作が進められてきた待望の校歌が、2012年11月、ついに完成した。
その完成披露発表会の当日、作曲・編曲を手がけた作曲家の千住明氏と、作詞者である俳人の黛まどか氏、北里大学校歌制作委員会委員長を務めた北里英郎医療衛生学部長の3人が膝を合わせ、新しい校歌に寄せるそれぞれの思いを語り合った。



北里は昔から馴染みある大学でした

北里 このたびは素晴らしい校歌の制作、ありがとうございます。
千住 こちらこそ、伝統ある大学の校歌を作曲させていただき光栄です。北里は子どもの頃に毎日、通学のバスから目にしていたので馴染み深い大学なんです。風格の漂う当時の木造の建物がとても印象に残っていますね。
   私も白金キャンパスの近くに住んでいたことがあるんですよ。
北里 そうでしたか。不思議なご縁を感じますね。
   これまでに何度か校歌の作詞をしたことがあるのですが、多くが新設校で、北里のような歴史ある大学は初めて。名誉なことだと思っています。
北里 お二人にそう言っていただけるとうれしいです。実は北里大学校歌制作委員会の総意で千住さんに作曲のお願いをしようと決めたときは、正直、断られたらどうしようとヒヤヒヤしていたんですよ(笑)。
千住 断るなんてとんでもない。私は幼稚舎から慶應なので、北里柴三郎博士が慶應義塾大学の医学部を創設したことも知っていましたし、北里に進学した友人も何人かいるので、無関係の大学とは思えないんです。それに北里英郎先生は慶應幼稚舎の先輩ですからね。喜んでお引き受けしました。
北里 ありがたいことに千住さんには、女流俳人の第一人者である黛まどかさんを作詞者としてご紹介いただいて。
   千住さんとは10年以上前からの知り合いです。本格的にお仕事をご一緒したのは、千住さんがオペラ「万葉集」を作るときに、台本執筆者として声をかけてくださったのが最初。それ以来、公私にわたり楽しくおつき合いさせていただいています。
千住 以前、自分と同世代の人と新しい仕事をしたいと思ったとき、まず目に留まったのが黛さんだったんです。その仕事ぶりは同世代でひときわ輝いていましたから。彼女は俳人なので、言葉を選びぬいて余計な部分をそぎ落としていく。そこが他の作詞家や小説家とは違うところで、言葉の間にメロディを入れる余地があります。作曲家が存分に腕を振るえるんですよ。
   千住さんは本当に懐が深い方で、いつも私の言葉をそのまま生かして作曲してくれます。今回の校歌も、良い曲ができあがってくるのは分かっていましたから安心して作詞できました。



キャンパスを肌で感じてから制作をスタート

北里 お二人に校歌の制作を依頼するときには、北里の精神がしっかりと伝わり、なおかつ幅広い人に末永く歌ってもらえるものにしてほしいとお願いしました。難しい注文だったと思いますが、完成した校歌を聞いたら言うことなしの出来栄えでしたね。
千住 ありがとうございます。やはり曲を作る前に、白金と相模原の両キャンパスを案内していただけたのが良かった。大学の雰囲気や歴史を肌で感じることでイメージがすごく膨らみました。
   相模原キャンパスはちょうどオープンキャンパスの日で、学生さんたちが勉強の内容や学生生活をとても親切に紹介してくれたんです。一人ひとりがプライドを持って役割を果たしているんだな、と感心しました。とにかくどこへ行っても大歓迎で、学生さんたちからいろいろなモノをもらっちゃいました(笑)。
千住 みんな生き生きとして明るかったですね。私もあちこちの学校に行く機会がありますが、北里には将来に対するエネルギーがみなぎっていましたよ。
   同じ日に訪ねた白金キャンパスでは、北里柴三郎記念室など興味深い施設をじっくり見せていただきました。北里の根底に流れる精神や伝統にリアルに触れることができましたね。
北里 作っていただいた校歌には、学祖・北里柴三郎の生涯や精神、大学の全体像などが、壮大な曲調の中、見事に表現されています。私たちが望んでいたことを、余すところなく形にしていただけました。



末永く歌われる、校歌の王道を目指しました

北里 実際に詞や曲の制作に取り掛かるとき、お二人はどのようなことを念頭に置かれたのでしょう。
   やはり名門校らしい格調の高さは大切にしました。同時に、すぐに意味は分からなくても、長く歌い続けたり、後で思い出したりしたときに、新しい意味に気づく重層的な歌詞を目指しました。最初の一行のイメージが浮かんだら、あとは気持ちよく作詞できましたね。
北里 「紺青(こんじょう)尽くす天穹(てんきゅう)にひとつの星を探すごと」という出だしですね。青空に隠れている星を探すように、ひたすら真理を追求する。この発想は見事ですね。しかも「紺青」は北里のスクールカラー。そして歌の最後には、天球の中心にある北極星、「北辰」がきらりと姿を現す。まさに重層的でドラマチックな歌詞です。
千住 最初に歌詞を見たときは感動しましたよ。 ただ校風や精神を並べたのではなくて、ちゃんとストーリーがあり、しかも生命を扱う尊厳も表現されていましたからね。
   ありがとうございます。千住さんの曲も素晴らしいですよね!
千住 私は校歌には二つあると思っているんです。新しい感覚を取り入れた軽快なものと、伝統的で重厚感あるものと。今回は「これぞ校歌」という王道に挑戦しました。今までいろいろな校歌を研究し、作曲してきましたが、いつまでも古くならない校歌というのは、結局オーソドックスなものなんです。それはある意味、自分の色を出さないことでもありますが、不思議なもので「出さないけど出てくる」ものが必ずあります。今回は時代を超えてぶれない校歌が自分なりに作れたと思いますね。
北里 本当に、末永く歌い継ぎたい校歌ができました。私は音楽鑑賞が趣味なのですが、聞けば聞くほど、歌えば歌うほど味が出てきますね。



芸術も自然科学も、突き詰めれば同じ

北里 ところで、今回の校歌の制作にあたって千住さんと黛さんには、北里大学の学問分野や各学部についてもご紹介させていただきましたが、こうした生命科学分野に対してお二人はどんな関心をお持ちですか。
千住 今、生命科学の最先端はすごいところまで来ていますよね。ほとんど神の領域のような。そうなると問われるのは、「人間はどこまで踏み込んでいいのか」ということ。だから生命科学を学ぶ人には、技術や知識に加えて道徳心を養って、生命を扱うのにふさわしい人間になってほしいですね。
   そう、私も同じ考えです。科学技術が進歩すれば必ずどこかでジャッジが求められると思うし、それを行うのが、道徳や倫理、宗教や哲学などの文化なのではないでしょうか。今回、歌詞を作っていて気づいたのですが、生命科学といえば常に最先端を行くイメージですが、地球上のあらゆる生命に価値を見出し尊ぶという意味では、日本の「八百万の神」への思いにも通じる部分があるんですよ。
北里 なるほど。言われてみればそうですね。
   日本には、あまたの生命を敬う文化が昔からあり、それは俳句という文芸の中にも息づいています。北里の学生さんも、ぜひこうした生命への敬意や慈しむ気持ちを養ってほしいですね。北里大学文学部俳句学科なんてどうですか(笑)。
北里 ご提案ありがとうございます(笑)。そういえば千住さんは東京藝術大学に入る前は慶應義塾大学の工学部で学ばれましたが、芸術と自然科学の世界を比べて気づくことはありますか。
千住 両方を学んで感じるのは、結局突き詰めれば全く同じということですね。最初に基礎があり、それをしっかり叩き込んだ後、一人ひとりが自分の道や存在の意味を追求していく。何も変わらないんです、音楽も文学もサイエンスも。



心を込めて歌い、校歌に魂を入れてほしい

北里 さて、本日はこの後、いよいよ校歌の完成披露発表会があります。北里の学生がどんな演奏と歌声を聴かせてくれるのか本当に楽しみですが、お二人はどんなお気持ちなのでしょう。
千住 音楽は人に聞かれ、歌われて初めて命を持つものです。もうすぐ皆さんに校歌をお渡ししますので、後はしっかり育ってくれよ、という気持ちですね。この曲の中には西洋音楽の数百年の基礎が入っていますし、詞の中には日本文学の粋が込められています。こうした優れた文化を、校歌と共に次世代へバトンのように手渡せたらと思います。
   千住さんも私も全身全霊を込めて作りましたけど、校歌に本当の魂を入れるのは学生さんの役割。心を込めて歌っていただけたらうれしいですね。船でいえば、完成披露発表会は進水式。船は港にいるときが一番安全ですが、目的は航海にあります。この歌が大学の魂をのせて皆さんと一緒に世界へ旅立ち、一人ひとりを応援する力になったらいいなと願っています。
北里 お二人に作っていただいた校歌は、卒業後もさまざまな場で歌われ、北里の精神を思い出させるとともに、母校愛や絆を深めていくに違いありません。本日はお忙しいところありがとうございました。




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