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シクリッドゲノム中に適応進化の痕跡を発見
-祖先から受け継いだゲノム多様性が急速な進化の鍵-
-祖先から受け継いだゲノム多様性が急速な進化の鍵-
要点
◆進化のモデル生物・シクリッド3種18個体の全ゲノム配列を解読
◆適応進化の候補遺伝子の多くに祖先多型が存在していることを明らかに
◆シクリッドの急速な適応進化には祖先多型が寄与した可能性を示唆
概要
東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の二階堂雅人准教授、中村遥奈大学院生、相原光人研究員、伊藤武彦教授、梶谷嶺助教、岡田典弘名誉教授およびタンザニア水産研究所、国立遺伝学研究所、北里大学の共同研究チームは、進化研究のモデル生物と称されるシクリッドの全ゲノム配列の解析を通じて、急速な適応進化には祖先から受け継いだゲノムの多様性(祖先多型)が重要な役割を果たしたことを明らかにしました。
本研究では短期間に適応進化を遂げたビクトリア湖産シクリッドの中から、特に3種に着目してその全ゲノム配列を決定し(各種6個体/計18個体)、それらを網羅的に集団遺伝解析することで、シクリッドの適応進化に関わったと考えられる遺伝子を数多く単離することに成功しました。そして、さらなる詳細な系統解析により、これら適応遺伝子には古い祖先種から受け継がれてきたゲノムの多様性が、大規模な「祖先多型」として存在することが明らかになりました。
一般に生物のゲノム中において、祖先多型は時間と共に失われてしまうと考えられており、シクリッドが進化の過程で失わずに受け継いできた、この例外的に大規模な祖先多型こそが、適応放散を可能にしたゲノム基盤であることを示唆しています。
この研究成果は、2021年3月22日(日本時間)に米国の学術誌『Molecular Biology and Evolution』電子版にて公開されました。
本研究では短期間に適応進化を遂げたビクトリア湖産シクリッドの中から、特に3種に着目してその全ゲノム配列を決定し(各種6個体/計18個体)、それらを網羅的に集団遺伝解析することで、シクリッドの適応進化に関わったと考えられる遺伝子を数多く単離することに成功しました。そして、さらなる詳細な系統解析により、これら適応遺伝子には古い祖先種から受け継がれてきたゲノムの多様性が、大規模な「祖先多型」として存在することが明らかになりました。
一般に生物のゲノム中において、祖先多型は時間と共に失われてしまうと考えられており、シクリッドが進化の過程で失わずに受け継いできた、この例外的に大規模な祖先多型こそが、適応放散を可能にしたゲノム基盤であることを示唆しています。
この研究成果は、2021年3月22日(日本時間)に米国の学術誌『Molecular Biology and Evolution』電子版にて公開されました。
論文情報
掲載紙:Molecular Biology and Evolution
論文名:Genomic Signatures for Species-Specific Adaptation in Lake Victoria Cichlids Derived from Large-Scale Standing Genetic Variation
著者名:Haruna Nakamura, Mitsuto Aibara, Rei Kajitani, Hillary D. J. Mrosso, Semvua I. Mzighani, Atsushi Toyoda, Takehiko Itoh, Norihiro Okada, Masato Nikaido
DOI:10.1093/molbev/msab084
問い合わせ先
学校法人北里研究所 総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL: 03-5791-6422
E-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。