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がん細胞の分化制御機構の解明と治療への応用の可能性
発表概要
がんは従来均一な細胞集団の集まりと考えられてきたが、最近の研究で、がんはがん幹細胞から分化した不均一な細胞集団からなることが明らかになっている。しかしながら、がん細胞の分化制御機構には不明な点が多い。本研究では、いまだに不明な点が多いがん細胞の分化が、細胞内の活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)と低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor-1α: HIF-1α)の相互作用によって制御されていることをホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma: HL)で示した。成果は北里大学の堀江良一教授(医療衛生学部・血液学)の研究グループ、東京大学が共同で日本癌学会の学術誌Cancer Scienceにて発表した。
発表のポイント
◆がん細胞の分化が形態的に観察できるHL細胞株を用いた。
◆HL細胞の分化には細胞内のROSの増加が関与していた。
◆未分化な細胞は低酸素状態にあり、HIF-1αが強く発現していた。
◆HIF-1αはROS分解に関与するヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)を誘導する。
◆細胞の分化はHIF-1αの発現が低下し、ROSが多くなると進んだ。
◆本研究の成果は細胞の分化制御機構を利用した、がんに対する新たな治療法の開発につながる可能性がある。
論文情報
雑誌名:Cancer Science(オンライン公開 2021年3月19日)
論文名:Differentiation of Hodgkin lymphoma cells by reactive oxygen species and regulation by heme oxygenase-1 through HIF-1α
著者名:Makoto Nakashima, Mariko Watanabe, Kazumi Nakano, Kaoru Uchimaru, Ryouichi Horie
DOI:10.1111/cas.14890
問い合わせ先
研究に関すること
北里大学 医療衛生学部 血液学 教授
堀江 良一(ホリエ リョウイチ)
〒252-0373 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
TEL:042-778-8216
E-mail:rhorie“AT”med.kitasato-u.ac.jp
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報道に関すること
学校法人北里研究所 総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
E-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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