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脳腫瘍でmTORを活性化する新たな仕組みの解明
―脳腫瘍の新たな治療法の開発が期待される―

 北里大学理学部生物科学科の堤 弘次講師、野原 歩(北里大学大学院理学研究科修士課程修了)らのグループは、mTORの活性を制御する新たな経路を明らかにし、この経路を阻害することで脳腫瘍の形成を抑制することを発見しました。mTORは酵母からヒトまで全ての真核生物で代謝を制御する鍵となる酵素です。mTORは脳腫瘍をはじめとした様々ながんで、酵素活性が上昇することによって、腫瘍の形成に関わっており、抗がん剤の標的としても注目されています。しかしmTORが脳腫瘍でなぜ活性化しているかは不明でした。今回、FilGAPタンパク質が脳腫瘍細胞でmTORを活性化していることを発見し、FilGAPの発現阻害により脳腫瘍形成モデルであるスフェロイドの成長を抑制することに成功しました。本研究成果は、新たな脳腫瘍の治療法の開発や、脳腫瘍の悪性化マーカーの開発へと繋がることが期待されます。
 本研究成果は、2023年12月8日(金)19時(日本時間)に、英国電子科学雑誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

ポイント

・抗がん剤の標的としても注目されるmTORの新たな活性化の仕組みを明らかにした。
・FilGAPはmTOR複合体と結合し、活性を促進することを発見した。
・脳腫瘍ではFilGAPの特定の転写アイソフォームの発現が増加していた。
・脳腫瘍細胞でFilGAPの発現を阻害することで、腫瘍形成モデルであるスフェロイド形成を抑制することに成功した。
・本研究の成果は新たな脳腫瘍の治療戦略の開発へと繋がることが期待されます。

論文情報

【掲載誌】Scientific Reports
【論文名】FilGAP regulates tumor growth in Glioma through the regulation of mTORC1 and mTORC2
【著 者】堤 弘次(筆頭著者、責任著者)、野原 歩(筆頭著者)、田中 大稀、村野 萌、宮垣 柚里奈、太田 安隆(責任著者)
【DOI】10.1038/s41598-023-47892-1

問い合わせ先

研究に関すること

北里大学 理学部生物科学科
講師 堤 弘次
E-mail:k.tutumi“AT”kitasato-u.ac.jp

報道に関すること

学校法人北里研究所 総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
E-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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