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水分子と協奏しながらリン酸を捕まえる環状分子を開発
筑波大学数理物質系の中村貴志助教の研究グループは、大阪大学大学院理学研究科の中畑雅樹助教、北里大学未来工学部の渡辺豪教授らと共同で、水中でリン酸を選択的に捕捉する新たな環状オリゴ糖(シクロデキストリン)分子を開発し、さらに、この環状分子が水分子と調和しながらリン酸を捕まえる詳細なメカニズムを明らかにしました。水分子と物質の相互作用の解明に寄与し、水環境で機能する材料開発への貢献が期待される成果です。この研究成果は、2024年11月22日付で、Chemical Scienceに掲載されました。
研究概要
環状の分子は、その内孔に特定の分子を取り込むことから、分子センサーなどとして利用されています。特に、水の中で特定の分子を精密に認識して捕まえることは、医薬品開発や環境科学などの分野で重要とされています。環状分子が分子を捕まえるのに用いる重要な分子間相互作用に、水素原子を仲立ちにして隣接する分子同士が引き合う水素結合があります。しかし水が存在する環境下では、水分子が水素結合部位に「競争」的に作用するため、水中で水素結合によって分子を認識する環状分子を開発することはチャレンジングな課題でありました。
本研究では、水分子との「協奏」的な相互作用により、水素結合を用いた精密な分子認識を実現する新しい環状分子を開発しました。具体的には、水素結合部位としてアミド基(-CONH-)を多数導入した新しいシクロデキストリン(環状オリゴ糖)を合成しました。この分子は水中でリン酸を捕捉する一方で、スルホン酸やカルボン酸とは結合せず、優れた選択性を示しました。そして、核磁気共鳴(NMR)分光法、等温滴定熱測定(ITC)、分子動力学(MD)シミュレーションを駆使した解析により、環状分子が水分子と調和しながら多点水素結合によってリン酸を選択的に捕まえる詳細なメカニズムを明らかにしました。
本研究の成果は、新しい環状分子の設計指針を示しただけでなく、水分子と物質の相互作用の解明に寄与し、水環境で機能する材料の開発に大きく貢献するものです。
本研究では、水分子との「協奏」的な相互作用により、水素結合を用いた精密な分子認識を実現する新しい環状分子を開発しました。具体的には、水素結合部位としてアミド基(-CONH-)を多数導入した新しいシクロデキストリン(環状オリゴ糖)を合成しました。この分子は水中でリン酸を捕捉する一方で、スルホン酸やカルボン酸とは結合せず、優れた選択性を示しました。そして、核磁気共鳴(NMR)分光法、等温滴定熱測定(ITC)、分子動力学(MD)シミュレーションを駆使した解析により、環状分子が水分子と調和しながら多点水素結合によってリン酸を選択的に捕まえる詳細なメカニズムを明らかにしました。
本研究の成果は、新しい環状分子の設計指針を示しただけでなく、水分子と物質の相互作用の解明に寄与し、水環境で機能する材料の開発に大きく貢献するものです。
論文情報
【掲載誌】Chemical Science
【論文名】Amide Cyclodextrin That Recognises Monophosphate Anions in Harmony with Water Molecules
(水分子と調和してモノリン酸アニオンを認識するアミドシクロデキストリン)
(水分子と調和してモノリン酸アニオンを認識するアミドシクロデキストリン)
【著 者】Takashi Nakamura,* Hayato Takayanagi, Masaki Nakahata,* Takumi Okubayashi, Hitomi Baba, Yoshiki Ishii, Go Watanabe,* Daisuke Tanabe, and Tatsuya Nabeshima
【DOI】10.1039/D4SC04529G
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〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
e-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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