獣医学系初！福島国際研究教育機構の委託事業「獣医核医学・ＴＲＴの社会実装に向けた調査研究」をスタート
～動物のがん治療への応用に向けた課題を検討～

　学校法人北里研究所は、量子科学技術研究開発機構（千葉県千葉市）と、福島国際研究教育機構（F-REI）が公募した令和６年度「放射線科学・創薬医療分野の研究開発を基盤とした分野横断的な取組に向けた可能性調査」委託事業に採択され、2024年12月27日付で委託契約を締結し、がん治療法の一つである標的アイソトープ治療（targeted radioisotope therapy：TRT）※１の産業・使役動物への臨床応用に向けた調査研究を開始しました。この研究は、北里大学獣医学部（青森県十和田市）と量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所が共同で推進し、獣医核医学診療の基本設計・周辺線量シミュレーション設計、諸外国の実践例調査と国内導入に向けた課題の総合調査などに取り組みます。動物を対象とする核医学診療の体制構築を目指した研究基盤と環境整備を進めることにより、動物からヒト、ヒトから動物へと、相利共生による医療の発展に貢献することが期待されます。

　北里大学獣医学部の附属動物病院は、国内の動物病院では先駆的にPET検査や核医学検査を実践してきました。今のところ、日本国内で唯一核医学検査を実施できる動物診療施設です。けれども、まだ法的にも「検査」しかできません。腫瘍などの患部へ集まりやすい薬に、多種多様な放射性核種を標識した放射性医薬品を用い、患部へ極めて集中して放射線を照射する核医学治療をTargeted Radionuclide Therapy（TRT）といいます。この度、量子科学技術開発機構量子医科学研究所と連携して、核医学を動物の腫瘍に対する治療に応用するための基本設計に取り組み、獣医核医学の発展・普及に向けた活動を行ないます。さらに、ヒト医療と獣医療との比較から、新たな診断・治療法を創出する比較医療の視点による調査研究にも取り組みます。
【柿崎 竹彦（北里大学 獣医学部 准教授）】

　福島国際研究教育機構（Fukushima Institute for Research, Education and Innovation 略称:「F-REI: エフレイ」）は、福島復興再生特別措置法に基づき、令和５年４月１日に設立された特殊法人です。福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力・産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指しています。
※ F-REIウェブサイト（https://www.f-rei.go.jp/）より

※1 標的アイソトープ治療（targeted radioisotope therapy：TRT）

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