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関東地方の太平洋沿岸で新種のノリを発見、クロシオアマノリと命名
~温暖化対策に向けてノリの育種素材として利用~
~温暖化対策に向けてノリの育種素材として利用~
国立大学法人東京海洋大学の松下桜子博士前期課程学生と二羽恭介教授を中心とするグループは、水産研究・教育機構 水産技術研究所、千葉県立中央博物館分館 海の博物館、北里大学(海洋生命科学部・小檜山篤志教授)との共同研究により、関東地方太平洋沿岸(神奈川県江の島、房総半島南端の千葉県白浜、東京都の伊豆諸島など)でオニアマノリとされてきた野生ノリが新種であることを明らかにし、クロシオアマノリと命名しました。
近年、ノリの色落ち被害に加えて、温暖化による海水温の上昇により、日本のノリの生産量は減少しています。また、現在のノリ養殖株のほとんどは北方種スサビノリの一品種であるナラワスサビノリになっており、遺伝的画一化も進んでいます。そのため、温暖化に対応した新たなノリ栽培種の育成に向けて南方系野生ノリを収集し、育種素材として利用していくことが重要です。
本研究では、スサビノリと比較して南方に生育するオニアマノリPyropia dentataに着目し、日本各地でオニアマノリとされてきたサンプルを収集して、分子系統解析と形態観察を行いました。その結果、江の島、房総半島、伊豆諸島など太平洋沿岸でオニアマノリとされてきた野生ノリが新種であることを明らかにし、クロシオアマノリPyropia neodentataと命名しました。また、オニアマノリは、①日本海沿岸に広く分布する系統、②東シナ海と日本海南西部の一部に分布する系統の大きく二系統に遺伝的分化していることも明らかにしました。
新種クロシオアマノリとオニアマノリには大きく生長する葉状体も見られることから、今後、温暖化に対応した新たなノリ栽培種の育成に向けて、育種素材として利用されることが期待されます。
本研究成果は、2025年5月6日に日本藻類学会誌「Phycological Research」のオンライン版で公開されました
近年、ノリの色落ち被害に加えて、温暖化による海水温の上昇により、日本のノリの生産量は減少しています。また、現在のノリ養殖株のほとんどは北方種スサビノリの一品種であるナラワスサビノリになっており、遺伝的画一化も進んでいます。そのため、温暖化に対応した新たなノリ栽培種の育成に向けて南方系野生ノリを収集し、育種素材として利用していくことが重要です。
本研究では、スサビノリと比較して南方に生育するオニアマノリPyropia dentataに着目し、日本各地でオニアマノリとされてきたサンプルを収集して、分子系統解析と形態観察を行いました。その結果、江の島、房総半島、伊豆諸島など太平洋沿岸でオニアマノリとされてきた野生ノリが新種であることを明らかにし、クロシオアマノリPyropia neodentataと命名しました。また、オニアマノリは、①日本海沿岸に広く分布する系統、②東シナ海と日本海南西部の一部に分布する系統の大きく二系統に遺伝的分化していることも明らかにしました。
新種クロシオアマノリとオニアマノリには大きく生長する葉状体も見られることから、今後、温暖化に対応した新たなノリ栽培種の育成に向けて、育種素材として利用されることが期待されます。
本研究成果は、2025年5月6日に日本藻類学会誌「Phycological Research」のオンライン版で公開されました
ポイント
・関東地方太平洋沿岸でオニアマノリとされてきた野生ノリが新種であることを明らかにした。
・東シナ海から日本海の沿岸に生育するオニアマノリには大きく2系統に遺伝的分化していることを明らかにした。
・新種クロシオアマノリとオニアマノリは、今後、温暖化に対応した新たなノリ栽培種を育成するため、育種素材として利用されることが期待される。
論文情報
【掲載誌】Phycological Research
【論文名】Hidden diversity of Pyropia dentata complex (Bangiales, Rhodophyta) in Japan, with description of a new species Pyropia neodentata from the Pacific coast of Japan
【著 者】松下桜子1、高橋南帆1、岡本未来1、玉城泉也2、菊地則雄3、小檜山篤志4、二羽恭介1
(1:東京海洋大学、2:水産研究・教育機構 水産技術研究所、3:千葉県立中央博物館分館 海の博物館、4:北里大学)
(1:東京海洋大学、2:水産研究・教育機構 水産技術研究所、3:千葉県立中央博物館分館 海の博物館、4:北里大学)
【DOI】10.1111/pre.12587
問い合わせ先
学校法人北里研究所 広報室
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
e-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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※e-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。