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柴三郎は、明治27年、香港でペスト菌を発見しました。 ペストはもともとねずみの病気で、ペストにかかったねずみの血を吸ったノミが人間の血を吸う時に感染します。ペストのおそろしさはねずみの死亡率(かかった人の中で死ぬ人の割合)より人間の死亡率のほうがずっと高いということです。ペスト菌を持っているねずみがすべて死ぬとはかぎらず、平気で走り回っていたりします。しかし、人間がペストにかかると高い熱が続き、リンパ腺(せん)が腫(は)れて重症(じゅうしょう)ならば肺炎を起こしてしまいます。皮膚(ひふ)が黒く変色することから、ヨーロッパでは「黒死病(こくしびょう)」と呼ばれて怖れられたのです。 日本では、鎖国(さこく:日本人が外国に行ったり、外国の人が日本に出入りしないようにするやり方)をしていた江戸時代300年間にはペストはありませんでしたが、柴三郎が香港で発見してから5年後の明治32年にとうとう国内にも入ってきて、伝染病研究所では皆で力を合わせて調査と予防に全力を尽くしました。まず予防としては、ねずみを退治する必要があると考え、家庭で猫を飼うようにとすすめました。ねずみのノミは猫にはつかないので、ペストにかかることはないからです。 当時の新聞に、ねずみを取るのが上手な猫の調査をした柴三郎の話がのっています。 ちなみにペストがはやった東京では、役所がねずみ1匹を5銭で買い上げたそうです。当時おそば一杯が2銭もしなかったので、皆で争ってねずみ捕りにかけ回ったということです。昭和に入ると日本国内からペストはなくなりました。 今の猫はねずみがとれるかな? |
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